葛城慎也先生

私は病理専門医として臨床に携わりながら、医学博士として胃癌研究を専門に行ってまいりました。病理診断は日々新しい症例との出会いの連続であり、患者さん一人ひとりの治療方針に直結する極めて責任の重い仕事です。一方で、学位取得に向けた研究は、時間をかけて仮説を検証し、成果を論文という形に結実させる営みです。臨床と研究の両立は決して容易ではありませんでしたが、その両輪を回す中で、病理医としての視野と強みを大きく広げることができました。

博士号取得の研究テーマは「内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)における切り出し幅に関する研究」でした。ESDは早期胃癌に対する低侵襲治療として広く普及しているものの、その後の病理診断の過程において、切り出し幅の基準に科学的根拠がないことが課題でした。私はこの点に注目し、数多くの標本を検討して最適な切り出し幅を検証する研究に取り組みました。標本を一枚一枚切り出し、染色し、顕微鏡で評価する作業は地道で膨大でしたが、診断の再現性と治療の質を高めるために不可欠なものだと信じ、日々努力を重ねました。この研究は、胃癌診断の標準化に資する知見を提供できたと考えており、学位取得の大きな糧となりました。
また、同研究にて同窓会学術奨励賞を受賞でき、大変名誉に思っております。
専門医資格の取得もまた、多くの苦労を伴うものでした。診断業務は予測不能で、緊急症例や剖検対応に追われることもしばしばありました。研修の最中に研究を並行するのは困難で、深夜まで標本を見直し、休日に研究データを整理する日々が続きました。時には「どちらも中途半端になってしまうのではないか」と不安に駆られることもありました。しかし、臨床で得た疑問を研究に持ち込み、研究成果を再び臨床に還元できる経験は、病理医だからこそ得られる醍醐味であり、この道を選んで良かったと強く実感しています。
こうした過程を経て、私は「臨床と研究を架橋する病理医」としての自覚を持つようになりました。胃癌の病理学的解析においては、形態学的な診断に加えて分子病理学的データを取り入れ、新しい診断指標や予後予測因子の探索を進めています。今後は次世代シーケンスやデジタル病理、AI画像解析など新しい技術を積極的に導入し、より精緻な診断と臨床応用可能な研究成果を追求していきたいと考えています。
また、教育活動も私の大切な使命です。自らが専門医・博士号取得の過程で経験した困難や工夫を次世代に伝えることで、後進の病理医・研究者が安心して挑戦できる環境を整えたいと考えています。苦労を乗り越える過程こそが大きな成長につながることを、自らの経験を通じて伝えていくことができれば幸いです。
病理専門医としての臨床力と、博士号研究で培った探究心を基盤に、研究を深化させ、診断・治療の進歩に貢献することが私の目標です。困難の中で培った経験を糧に、臨床・研究・教育の三本柱を大切にしながら、病理学の未来を切り拓いていきたいと考えています。
こうした過程を経て、私は「臨床と研究を架橋する病理医」としての自覚を持つようになりました。胃癌の病理学的解析においては、形態学的な診断に加えて分子病理学的データを取り入れ、新しい診断指標や予後予測因子の探索を進めています。今後は次世代シーケンスやデジタル病理、AI画像解析など新しい技術を積極的に導入し、より精緻な診断と臨床応用可能な研究成果を追求していきたいと考えています。
また、教育活動も私の大切な使命です。自らが専門医・博士号取得の過程で経験した困難や工夫を次世代に伝えることで、後進の病理医・研究者が安心して挑戦できる環境を整えたいと考えています。苦労を乗り越える過程こそが大きな成長につながることを、自らの経験を通じて伝えていくことができれば幸いです。
病理専門医としての臨床力と、博士号研究で培った探究心を基盤に、研究を深化させ、診断・治療の進歩に貢献することが私の目標です。困難の中で培った経験を糧に、臨床・研究・教育の三本柱を大切にしながら、病理学の未来を切り拓いていきたいと考えています。

